映画

2023.12.08 18:00

ディズニー、新作『ウィッシュ』で「シネマティック・ユニバース」化に失敗

image_vulture / Shutterstock.com

ディズニーがこれまでの失敗から学び、すべてを「シネマティック・ユニバース」化する試みをあきらめるだろうと思っている人は、同社の新作アニメーション映画『ウィッシュ』を観れば、そうした考えが間違っていることがわかるだろう。同作は批評サイト「ロッテン・トマト」での総合スコアが50%になった上、北米でのオープニング週末の興行成績は3位に甘んじた。『ハンガー・ゲーム』シリーズの新作、さらには評価が中程度にとどまったリドリー・スコット監督の歴史大作『ナポレオン』にすら負けている。

『ウィッシュ』が抱える問題は多い。ネット上で拡散したある動画でなされた、主人公の考えが浅はかで、むしろ悪役の方が正しいという指摘も、そのうちの1つだ。しかし最もひどいのは、エンディングかもしれない。おそらく、ディズニーの「古典」アニメ映画とくらべても、最悪の部類に入るだろう。

以下はネタバレを含む内容になるが、そもそもこの作品は見なくてもいいかもしれない。

映画の終わりまでに、次のことが起きる。主人公のアーシャが願いをかけた星が、『ピノキオ』で主人公が願いをかけた星になる。マグニフィコ王は、おそらく『白雪姫』の魔法の鏡となる(また、アーシャの友達たちは7人の小人がモデルだ)。さらに『塔の上のラプンツェル』『ポカホンタス』『バンビ』『ピーター・パン』関連のカメオ出演や言及もある。アーシャは最終的に、『シンデレラ』で主人公の願いを叶えるフェアリーゴッドマザーになることが強く示唆されている。

製作陣は同作の構想時、歴代ディズニー映画全作をボードに置き、どの作品の要素を入れ込むかを決めたという。最終的に、大多数の映画が採用されたとみられる。

共同監督のクリス・バックはニュースサイトのビジネス・インサイダーに対し「オリジナル曲を使ったオリジナルストーリーをしっかり作りこんでから、これらの層を追加した」と強調しつつも、最終的に過去作から100以上の要素を入れ込んだことを明かしている。
次ページ > 不作続きのディズニー、再起は可能か?

翻訳・編集=遠藤宗生

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事