映画

2023.11.04 12:00

舞台は戦後へと遡る。国内30作目の最高傑作「ゴジラ-1.0」

©2023 TOHO CO., LTD.

言うまでもなく、ゴジラは映画会社・東宝が送り出した最大の「スター」だ。

東京・日比谷の本社が入るビルのロビーと前の広場にはゴジラの像が鎮座しており、世田谷区成城にある東宝スタジオの入り口にも高さ2メートルのブロンズ像が設置されている。いかにこの世紀の大怪獣が、東宝という会社に多大な貢献をもたらしてきたかが察せられる「特別待遇」だ。

この日本で(いや世界でかもしれない)唯一無二のスター怪獣は、1954年に公開された「ゴジラ」(本多猪四郎監督)でデビューした。以来、シリーズとしては、最大の興行収入を記録した「シン・ゴジラ」(2016年、庵野秀明総監督、樋口真嗣監督)まで、実写作品としては29本が製作されてきた。

その間、日本でつくられた作品が海外で公開されてきたのはもちろん、ハリウッドでも「Godzilla」(海外では「God」として神格化されている?)として登場する作品が、4作もリブートされている。まさに国際級のスターだ。

そのゴジラの国内での記念すべき第30作目に当たるのが、「ゴジラ-1.0」(ゴジラマイナスワン)だ。タイトルの「-1.0」は、この作品の時代設定が、1954年の第1作から遡るものであることを示していると思われる。物語の最初の舞台となるのが、1940年代の終戦間近の南の島だからだ。

ゴジラは東京の銀座に現れる ©2023 TOHO CO., LTD.

ゴジラへのなるほどと驚く撃退法

とある南の島、日本軍の基地に降り立った敷島浩一(神木隆之介)は、そこで海から現れた巨大生物に遭遇する。それが、敷島にとっては、島で「ゴジラ」と呼ばれていた怪獣との初めての出会いだった。

第1作の「ゴジラ」では、この畏怖の対象が全貌を現すまでに上映時間の半分以上を要したのだが、今回の「ゴジラ-1.0」では、いきなり獰猛なその姿を目にすることになり、とことん凶暴なその挙動に目を奪われる。
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文=稲垣伸寿

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