2023.05.07 13:00

フロリダの隠れ名所「虐殺要塞」 18世紀の歴史を今に伝える

遠藤宗生
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マタンザス砦(Getty Images)

米フロリダ州セントオーガスティンには、米本土で最古の石造りの要塞として知られるサンマルコス砦(カスティージョ・デ・サンマルコス)があり、多くの観光客を集めている。だが、その約22.5キロ南方にはもう1つ、長い歴史を持ちながら比較的無名の要塞があり、無料で見学できる。

ラトルスネーク島にあるマタンザス要塞国定史跡へは、米国立公園局(NPS)が運航するフェリーで行ける。乗り場は海岸沿いを走る州道A1Aの近くにあり、乗れば島まですぐだ。NPSによれば、マタンザス要塞は「米本土で最も保存状態の良いスペイン植民地時代の監視塔」だという。

要塞はセントオーガスティンの裏口に当たるマタンザス入江を管理し、英国の攻撃を防ぐため、スペイン王政の命令で1740~42年に建造された。現存する要塞には大々的な修復が施されているものの、石造りの大部分は建造当時のものだ。

マタンザスの名は、スペイン語で「虐殺」を意味するマタンサスに由来。1565年にフランス軍の兵士245人が入江の砂丘でスペイン軍に虐殺されて以来、一帯はこの名で知られている。その後235年間にわたりスペインはフロリダを支配し、この地を流れる川はマタンザス川と呼ばれるようになった。

ラトルスネーク島と要塞へのフェリーは水~日曜日に運航している。座席数が限られているため、午前9時にビジターセンターが開館したらすぐにフェリーを予約するのがおすすめだ。ビジターセンターと周辺地域、遊歩道は毎日午後5時半まで開放されている。

マタンザス要塞では戦闘は行われなかったが、NPSによると要塞の兵士たちは少なくとも1回、襲撃者と銃撃戦を繰り広げたとされる。要塞には通常、兵士7~10人と将校1人が詰めていた。英国軍の脅威にさらされていた間の総戦力は50人だった。

1821年に米国がスペイン領フロリダを獲得した後、要塞は放棄され、1924年にカルビン・クーリッジ大統領によって国定史跡に指定された。要塞と同じコキナ(貝殻石灰岩)の石造りのビジターセンターは、フランクリン・ルーズベルト政権下の1937年に雇用促進局(WPA)の事業として建設された。

forbes.com 原文

編集=荻原藤緒

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