モビリティ

2024.05.16 12:30

バイドゥが430万円の「ロボタクシー車両」発表、年内に1000台運行へ

木村拓哉
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He Penglei/China News Service/VCG via Getty Images

中国のバイドゥ(百度)は米国時間5月15日、第6世代のロボットタクシー車両を発表し、年内に武漢で1000台を導入する計画を明らかにした。新型車両の製造コストは、前世代モデルの半分の約20万元(約430万円)で、バイドゥは2025年にはロボットタクシー部門の黒字化を見込んでいる。

新型モデルにはステアリングやペダルが装備されるが、人間のセーフティドライバーを乗せずに運行される予定という(バイドゥは武漢ですでにApollo Goと呼ばれるロボットタクシーを人間のドライバーを乗せずに運行している)。

同社はまた、デポ(車両基地)運営の自動化によりコスト削減を図る計画だ。バイドゥの自動運転車両は、バッテリー交換が自動化され、車両の配車や清掃、回収などがすべて人手を介さずに行われる。

中国製のEVは米国製のものよりも安価だが、430万円程度の価格で自動運転に必要なセンサー類を組み込んだ車両を製造できることは大きな進歩であり、最終的には世界中で模倣されることになりそうだ。サービスの他の要素(前述のデポ運営など)を一定の規模にできれば、最大のコストは車両から生じるため、車両が安くなれば乗車コストも安くなる。さらに、ハンドルやペダル、調整可能な座席などの運転手のための装備を省けば、ロボタクシーは消費者向けの自動運転車よりも製造コストが低くなる可能性がある。

バイドゥが提供する最新型ロボタクシーの車両価格は実際、テスラが最近保留にしたモデル2の予測価格を下回っている。米国政府は、中国から輸入されるEVに100%の関税をかけようとしているが、たとえ2倍の価格になったとしてもバイドゥの自動運転車両は米国で計画されているどのロボカーよりも安価だと言える。

実際ウェイモは、中国自動車大手、吉利汽車傘下のZeekr(ジーカー)との提携で次世代ロボタクシーを製造している。米国のタクシーや配車サービスの利用者は、ウェイモやウーバーといったブランド名を気にするが、その車がどこのメーカーのものであるかをほとんど気にしない。

さらに、輸入されたロボタクシーには重大な欠陥がないことが要求されるが、乗用車と同じ信頼性や品質は求められない。乗用車が故障するとオーナーは大きな不便を感じ、怒りを覚えるが、ロボタクシーが故障しても、その車両はサービスから外れるだけだ。そう考えると、中国製の安価な自動運転車両は、すでに欧米市場向けに十分なクオリティに達しているのかもしれない。また、交換式のバッテリーは乗用車向けには現実的ではないが、ロボタクシーのオペレーションには、良い選択肢になりそうだ。

世界の自動運転車両のメーカーは中国の動きを注視すべきだ。現状ではウェイモが中国以外の市場を支配しており、現在の政治状況を考えると中国企業が米国でロボタクシーを運営することは困難であろうが、中国企業は海外のパートナーとの提携で新たな市場に乗り込む可能性がある。彼らはすでにその準備を進めているかもしれない。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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