働き方

2024.05.17 09:15

「新しい挑戦」できている? 大退職時代を生き抜くための3つの心得

鈴木 奈央
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この春、人材確保のために近年で最大の“賃上げの波”が来た。一方で、早期退職募集の波も続いている。新しい職業がたくさん生まれ、なくなっていく。少し前から欧米で言われていた大退職時代の波は日本から距離があったが、少しずつ近づいてきている。

どんなに大企業に勤めていても、一社で定年まで働き続ける人は確実に減りつつある。その意識で長年働いてきた世代も、早期退職の募集を前に人生を考え直すかもしれない。私がかつて住んでいたシンガポールでは、およそ3年周期で転職するのは当たり前だったし、アメリカでは人生で12の職を経験するという数字もある。日本でも人々の意識は少しずつ変わっていき、遠くないうちに人生で5社経験するのが当たり前の時代がやってくるだろう。

そんな時代を生き抜くために、意識しておかなければならないことが3つある。

1つは、「リセットされる経験と、リセットされない経験がある」ということ。もしあなたが機械メーカーの営業職で海外担当をしているとしよう。転職して、無形商材の営業職に挑戦する。この場合、あなたの営業経験はリセットされる。モノを売るのと、サービスを売るのでは全然違うからだ。しかし、英語力や海外と橋渡しをする力は次の職業でも活かされることだろう。

ごく当たり前のことに聞こえるかもしれないが、求められる人材であるためには、なんらか提供できる価値を持っている必要がある。一方で、「せっかく転職するなら、新しいことに挑戦してみたい」という思いもあるだろう。大事なのは、両者のバランスをとること。上記のケースでいえば、英語力と海外との橋渡し力という価値をもたらす代わりに、無形商材を売るという新しい挑戦をする。「二つの価値貢献と、一つの挑戦」をセットで考えよう。

2つめは、「給与は上がったり、下がったりするもの」だという認識だ。例えば、これまでの経験をリセットして、全く新しいことに挑戦すると、大幅に給与が下がることになる。機械メーカーの営業のあなたが、消費財メーカーの広報職を目指すなら、未経験でも挑戦させてくれる機会を見つける必要があるし、もし見つかったとしても、給与は未経験者見合いのものになる。
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文=西野雄介

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