サイエンス

2024.05.15 18:30

離れていても互いによく似た生物が誕生する「平行進化」の不思議

木村拓哉
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進化とは、ゆっくりと進行する、長期的かつ継続的な実験だ。自然はその間、さまざまな形状や戦略を試しながら、生存し繁殖していく上で何が最も効果的かを探っていく。

生物の種は、時間とともに少しずつ変化し、環境に適応し、リソースを奪い合い、遺伝子を次の世代へと伝える。新しい種と多様な生き物は、こうしたプロセスを経て生み出されていくのだ。

種はたいてい、進化によって異なる環境に適応しながら枝分かれし、それぞれ違ったものへと変化していく。これを分岐進化(divergent evolution)という。遠い親戚であるクジラとカバが、異なる暮らし方に適応し、まったく異なる見た目になったのがそうした事例だ。片方は海へと向かい、もう片方は、半水生動物として地上の生活を選んだ。
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こうした分岐進化とは異なる概念として、「平行進化(Parallel evolution)」がある。これは通常、似通った遺伝的背景から出発した近縁種同士が、しばしば似通った環境への反応として、それぞれが独立して類似した特徴を進化させることを指す。こうした平行進化は特に、地理的に離れていても同様の生態学的困難に直面する種のあいだで起こり得る。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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