働き方

2024.05.02 12:00

ストレスの原因は「仕事」と8割が回答、企業が取れる対策とは

木村拓哉
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従業員同士の会話はしばしば、職場で何かがうまくいっていないことを示す最初の兆候になる。ストレスや燃え尽きをめぐって交わされる、「廊下での会話」とも表現されるそうした会話は、炭鉱のカナリアのようなものだ。「(ウェルビーイングをめぐる)会話の大部分は、舞台裏でこっそり交わされる。けれども、役員会議室のような公の場で話し合われる必要があるのだ」とシングは言う。

企業がウェルビーイングに投資しないのはなぜか

企業幹部のなかには、従業員のウェルビーイングへの投資について、ひどい思い違いをしている者もいる。シングによればその原因は、時代遅れの経営モデルに固執していることにあるという。「メンタルモデルが違う。人について考えるときに、取引としてとらえるか、ビジネスの基礎としてとらえるか、ということだ」

ヘッドスペースの調査では、企業が従業員のメンタルヘルスに関するリソースに投資することで、医療費が15%削減されることが明らかになっている。また、瞑想アプリを日常的に使用している人では、使用開始から30日後に、ストレスが32%減少することもわかった。

とはいえ、そうした説得力のあるデータにもかかわらず、いまだに多くの組織では、メンタルヘルスが職場における優先事項になっていない。

「現在では、メンタルヘルス関連リソースに投資するか否かで、投資利益率(ROI)にはっきりとした違いが出ることが、多くの良質なデータによって示されている」とシングは話す。「質的な利点があることについては、誰もが概念としては認識していても、必ずしもそれで投資という決断に至るわけではなかった。いまでは、そうした質的な利点だけでなく、従業員一人につき数千ドルを削減できることも理解され始めている」

「職場でのウェルビーイング」を意思決定者に理解させるためには

「ウェルビーイングは、ずっと間違った受けとられ方をしてきた」とシングは言う。「話の一部だけを切りとって、そこから経済的な議論をしようとする、という感じだった。場合によっては、企業のなかに、人やプログラムへの投資の有無による具体的な金銭面の影響を理解していない人たちもいるかもしれない。ウェルビーイングという話をすることが、かえって悪い方向になるケースもあると私は思っている。ウェルビーイングと生産性の関連が証明されていたとしても、それを軽視してしまう場合があるのだ」
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翻訳=梅田智世/ガリレオ

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