欧州

2024.04.25 10:00

ウクライナ軍、東部であわや防御線崩壊 「最強」旅団交代の隙突かれる

安井克至
ウクライナ軍にとって明るいニュースは、間もなく大量の弾薬や、伝えられるところでは第47旅団向けにM2も多数受け取れることだ。ロシア寄りの共和党議員たちによる半年にわたる妨害のあと、米国の新たなウクライナ向け支援が米議会でようやく承認される運びになったためだ(編集注:ウクライナへの610億ドル=約9兆4600億円=近くの支援を含む予算案は23日に上院でも可決され、ジョー・バイデン大統領が24日に署名して予算が成立した)。

米シンクタンク、戦争研究所(ISW)は22日の戦況評価で「ロシア軍はアウジーウカの北西でウクライナ側の防御線に幅広く侵入することを目論んでいるとみられるが、そうする能力は米国やほかの西側諸国の援助が到来すれば鈍る公算が大きい」との見方を示している。

暗いニュースは、第115旅団で起きた問題は、どうもこの旅団に限らないウクライナ軍の組織的な問題らしいことだ。ウクライナ東部の戦線で立ち行かなくなったウクライナ軍部隊は、過去数週間でこれで2個目だ。

最初の部隊は第67独立機械化旅団で、アウジーウカの北およそ30kmに位置し、現在、ロシア軍に最も狙われている都市であるチャシウヤールの、最も狙われている地区を守っていた。しかし、極右の政治集団のメンバーが多かったとされる幕僚らが絡んだ内紛が発生し、ウクライナ国防省は整理せざるを得なくなった。

ウクライナの地上部隊に戦闘旅団は100個かそこらしかなく、その多くは数カ月ないし数年戦い続けているため消耗している。第47旅団がまさにそうだ。

現在のウクライナは2個旅団を丸ごと失う余裕はないし、最良の旅団を酷使し続ける余裕もない。数百億ドル分の新たな兵器が届いても、それを使う部隊が十分な数いて、しっかり休息もとり、秩序だった状態でなければ役に立たない。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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