事業継承

2024.04.22 12:00

組織変革から地域共創型まで。新しい事業承継100社(後編)

Forbes JAPAN編集部
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山勝染工 伝統|ブランディング

代表者|中村剛大 設立年|1949年
漆黒の染色技術で知られる名古屋黒紋付染の染め元。父の急逝に伴い、2013年に剛大氏が家業に入社。弟の友亮氏は名古屋黒紋付染師4代目。江戸時代から続く染め技術の継承・発展に尽力。新たにアパレルブランド「中村商店」を立ち上げ、洋服の染め替えサービスも提供。CMや映画の衣装製作を行うほか、ホテルやカフェの内装も手掛ける。

増田桐箱店 伝統|商品開発

代表者|藤井博文 設立年|1966年
曽祖父が創業した桐箱店を継承し24歳で社長に就任した博文氏は、下請け体質だった事業モデルからの脱却を図り、「桐箱軸」の商品開発に着手。桐の調湿・防虫効果を生かした米びつのヒットを機に自社商品を幅広い分野に多数開発。高齢化する職人不足を解消するために国内数カ所の刑務所と提携するなど工夫して安く高品質な商品開発を実現。

中村園 伝統|異業種参入

代表者|中村健一 設立年|2011年
家業は、障子紙における全国シェアが約6割を誇る家業の中村製紙所。通商産業省(現:経済産業省)勤務を経て、地元の福岡・八女の活性化を目標に、5代目社長として継承。縮小する国内市場に対して海外への販路を拡大するとともに、相乗効果を見据えて農業を新機軸に中村園を設立。八乙女茶と国産ハーブのブレンドティーを生み出した。

田島山業 ビジョナリー(長期思考)|地域一体型

代表者|田島大輔 設立年|1988年
大分県日田市の林業経営者一族に生まれた大輔氏は、キヤノンを経て2016年にUターン。現在は父・信太郎氏が代表だが承継予定のアトツギだ。植林から伐採までという従来型の林業を、大企業向けのカーボンクレジット販売などを行う山林経営に拡大。環境に配慮した取り組みが評価され、第1回アトツギアワードロングターミズム部門大賞を受賞。

油長酒造 伝統|ブランディング|地域一体型

代表者|山本長兵衛 設立年|1719年
日本酒の人気銘柄「風の森」の蔵元として知られる老舗酒造の13代目は、阪急百貨店での営業職や英国留学を経て2008年に入社し、2019年に「長兵衛」を襲名。蒸留所を新設して奈良の風土に根付いたクラフトジンを誕生させたほか、近隣の飲食店や宿泊施設、銭湯などとコラボしてイベントを行うなど、歴史ある酒蔵として地元を盛り上げる。

長谷虎紡績 ビジョナリー(長期思考)|イノベーション

代表者|長谷享治 設立年|1943年
尾州ウール産地で1887年に創業。2019年に5代目社長に。「素材で世界を変える」を掲げ、20年にナノファイバーのベンチャー企業と共同で新会社を設立。山形県鶴岡市の人工タンパク質素材スパイバーや、Forbes JAPAN 30UNDER30を受賞した岐阜大発ベンチャーのファイバークレイズなど、特殊繊維を中心にスタートアップ投資や協業を進める。

協力者一覧

微細加工工業会事務局長 内田研一、マクアケ代表取締役社長 中山亮太郎、同取締役 坊垣佳奈、ベンチャー型事業承継代表理事 山野千枝、サーチファンド・ジャパン代表取締役 伊藤公健、M&A works代表取締役CEO 安藤智之、狭山市ビジネスサポートセンター Saya-Bizセンター長 小林美穂、福岡地域戦略推進協議会(FDC)事務局長 石丸修平、大都代表取締役 山田岳人、ティ・ディ・シー代表取締役社長 赤羽優子、生方製作所代表取締役社長 生方眞之介、キャニコム代表取締役社長 包行良光、賢者の選択サクセッション 事務局長 前田雄大、日本M&Aセンター、愛知県、大分県、神戸市、仙台市

この記事は 「Forbes JAPAN 2024年4月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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