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2024.02.07 09:00

YouTubeの有料サービスで1億人突破、「課金モデル」導入の歴史

一方、今回の1億人のマイルストーンの達成のタイミングは、ハイテク大手が依存する広告ビジネスモデルへの監視の目が強まる時期と重なった。グーグルは今年後半、同社のアドテクノロジーや検索ビジネスが競争を排除して不当な利益を得たかどうかを探る、大規模な反トラスト法の裁判に直面する見通しだ。同社の広告ビジネスはまた、閲覧者数とクリックが収益につながる仕組みを推し進め、過激なコンテンツや誤情報にインセンティブを与えたという非難にも直面している。

そんな中、YouTubeの社内では「広告に頼らないサービスは必ずしも明確な優先事項ではなかった」と同社の副社長のアダム・スミスは述べている。多くの人は、このサービスを単なる「余興」として捉え、もっと悪い場合は、広告主との関係を悪化させるのではないかと心配する人も居たと彼は語った。

「そもそも、私たちの会社には、サブスクリプションのDNAがなかったのです。社内では、広告ビジネスこそが王道だと思われていて、課金サービスが果たしてユーザーが本当に求めているものなのかという疑念も生じていました」とスミスは当時を振り返った。

しかし、スミスによればYouTubeは今後、広告なしで楽しめることに主眼を置いた別の課金サービスを構築する計画という。このサービスは、現状のものよりも安価で、YouTube Musicのような他の特典を含まないものになるという。

一方、昨年YouTubeのCEOを退任したスーザン・ウォジスキに代わって同社のトップに就任したモーハンは、長年、広告業界に務めてきた。彼は2007年にグーグルが買収した広告テクノロジー大手のダブルクリックからグーグルに入社した。

そのため、モーハンが広告なしのプロダクトに熱心に取り組むのは意外なことでもある。「当社にとって本当に大事なのは、ユーザーに多様な選択肢を与えることなのです。それこそが、私たちが熱意を持って取り組んでいることなのです」と彼は語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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