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2022.11.30 11:45

花王がアタックZEROの秘密を発表

Getty Images

花王の衣料用濃縮液体洗剤「アタック ZERO(ゼロ)」には、同社独自開発の界面活性剤「バイオIOS」が採用されています。同社がそのメカニズムを解明し、さらなる応用に向けた取り組みを発表しました。

界面活性剤とは、洗浄剤において汚れを浮かす重要な役割を果たすもので、基本的には界面活性(水にも油にもなじみやすい)と水溶性(水に溶けやすい)がいずれも高いことが重要とされています。ただ、界面活性を高くしようとすると水溶性は低下してしまうため、いかに両方の性質を高めていくかが肝となっています。

また、この界面活性が高ければ高いほど、少量で汚れを落とせるため、原材料がより少なくて済みます。天然油脂原料を使用する界面活性剤の場合、その油脂原料は総油脂原料のわずか5%程度しか流通しておらず、それを複数のメーカー取り合っているというのが現状。そのため、サステナブルな原材料を活用しつつ、より少量で済むような取り組みをした結果、バイオIOSが生まれました。


通常、上図のような山型が続く「アルキル鎖長」という分子構造が長いほど界面活性は高まるものの、水溶性は低下してしまいます。ところが、バイオIOSの場合、このアルキル鎖長が長く高い界面性を維持しながら、高い水溶性を併せ持つ性質がありました。しかしながら、なぜそのような特性が得られるのかは、今年になるまで謎に包まれていました。

水中での分子の立体構造を解析したところ、バイオIOSは長さの異なるアルキル鎖長が2本同じ向きに存在することが判明。さらに、大きな環状の親水部を形成しており、水溶性も高く、長いアルキル鎖が凝集(分子どうしが絡まって塊になってしまうこと)することを防いでいることが推察されました。

このように、好結果が得られているけど、なぜそうなるのか詳しくはわからないという事象は数多くあります。それを解明することで、より性能の高いものを効率よく生み出すことが可能となります。花王は、今回の本質解明研究により、さらなるサステナブルな界面活性剤を広く、有効に活用していくことを目指しています。

文 = 飯島範久

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