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2017.04.12 08:30

起業家が「大型資金調達」するために必要なこと

YJキャピタル 堀新一郎(左)とビズリーチ 南壮一郎(右)

南壮一郎が2009年に創業したビズリーチは、人材領域をインターネットの力で変革するHRテック・ベンチャー。

即戦力人材と5800社以上の企業を直接繋ぐ国内最大級の会員制転職サイト「ビズリーチ」をはじめ、16年6月にはAIを活用した戦略人事クラウド「HRMOS(ハーモス)」など、働き方を変革する新たなサービスを次々と生み出している。

堀新一郎が社長を務めるヤフーのCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)のYJキャピタルは、16年3月に同社へ投資を実施した。


堀:出会いは今から10年以上前になります。同世代だったこともありすぐに意気投合し、駐在先のベトナムに遊びにきてくれたり、結婚式に参列してくれたりと、今にいたるまで十年来の良き友人です。

私にとって、南さんは同世代で最もチャレンジしている存在で、「どう世界を見ているか」が常に気になる人。ヤフーへの転職前の、キャリアを決める重要なタイミングにも、相談に行きました。「何をやっても成功するから、やればいいじゃない」と力強く背中を押してもらったのを覚えています。

起業家と投資家の関係になったのは15年10月頃から。求人検索エンジン「スタンバイ」やクラウド型の戦略人事システム「ハーモス」など、“働き方革命”を起こすために展開したい新規事業が、初期投資の大きいテクノロジードリブンのビジネスだったことから、創業時のシードマネー以来の資金調達を検討開始したタイミングです。

「日本の働き方を変える」という壮大なビジョン実現に向けて、日本No.1インターネットカンパニーのヤフーと組めたらと思い、真っ先に堀さんへ相談に行きました。

我々が投資した16年3月、南さん率いるビズリーチは結果的に、総額37.3億円の資金調達を行いました。YJキャピタルとしては、12年の創業以来最高投資額の15.6億を投資し、リードインベスターとなりました。それまでの最高額が5億円だったこともあり、南さんからの大型調達の相談には正直興奮しましたね。

投資を決めた理由は明確で、まずビズリーチが、即戦力人材・企業・ヘッドハンターという3者と密な関係を築き、質の高いデータベースを持つ業界随一の企業であったこと。かつ、人材事業がヤフーにとって手薄い領域で、グループとの将来的なシナジーが見込めたことです。

二人の間の一貫したキーワードは「国の未来を創る」。堀さんは、プライベートの付き合いの中でも、「日本という国にインパクトを与える仕事がしたい」とよく口にしていましたし、海外で育った私とは、「世界から見た日本」の話題になる機会も多かった。

「素晴らしい国だが、産業も働き方もこのままでは時代の流れに取り残されてしまう。そこを変えていきたい」という共通認識があったからこそ、投資をお願いした。

南さんは、日本では珍しい桁違いに「ビジョナリーな起業家」。投資のプロセスで、経営陣から従業員まで組織全体にビジョンが徹底的に浸透していることに驚かされました。それも南さんが掲げているビジョンが明確だからこそ。後に続く若き起業家たちの先達となるべく、ビズリーチを世界で戦える企業へと成長させることを期待します。

我々のミッションは「インターネットの力で世の中の選択肢と可能性を広げていく」。テクノロジーとデータを活用し、我々の時代の新しい働き方を支える事業を創造し続け、「企業」と「人」の生産性向上という“国の成長戦略のど真ん中”に対して価値創造をしていきます。


堀新一郎(ほり・しんいちろう)◎YJキャピタル代表取締役社長。慶應義塾大学(SFC)卒業後、フューチャーシステムコンサルティング(現フューチャーアーキテクト)、ドリームインキュベータを経て、2013年にヤフーに入社。同年7月よりYJキャピタルに参画。16年11月より現職。主な投資先は、ファストメディア、VIP Plaza、delyなど。

南壮一郎(みなみ・そういちろう)◎ビズリーチ代表取締役社長。1999年、米タフツ大学数量経済学部・国際関係学部卒業後、モルガン・スタンレー証券入社。2004年楽天イーグルスの創業メンバーに。その後、ビズリーチを創業し、09年に即戦力人材と企業をつなぐ会員制転職サイト「ビズリーチ」を開設し、現在にいたる。

文=山本隆太郎

この記事は 「Forbes JAPAN No.33 2017年4月号(2017/02/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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