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2016.10.18 15:30

中国ネット物流ZTO社、米国で上場へ アリババ以来の巨額IPOに

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Photo by Taina Sohlman / Shutterstock.com

中国のEコマース物流において勢力を誇る物流会社、中通快逓(ZTO)が米国の株式市場に上場する。ZTOは13億ドル(約1,349億円)規模の資金調達を見込んでおり、中国企業の米国での上場としては今年最大のものになる。

米国SECへの提出書類によると、上海に本拠を置くZTOの発行株式数は7,210万株。一株16.5~18.5ドルでニューヨーク証券取引所に上場する。調達資金を同社は土地や車両の購入、物流拠点やIT設備の整備に充てる。

今回のIPOは中国企業による米国での上場としては、2014年のアリババによる250億ドル(約2.6兆円)規模のIPO以来、最大となる。

中国ではYTOエクスプレスやS.F.エクスプレス、Shentongエクスプレスらの物流企業がしのぎを削り、母国でIPOを果たしている。急拡大が見込まれる中国の物流市場は2020年までに昨年から189%の成長を遂げ、取扱貨物数は600億個に達するとされている(調査企業iResearchのデータ)。

先週、中国の証券監督管理委員会はS.F.エクスプレスが上海のレアメタル企業を433億元で買収することを承認した。YTOエクスプレスやShentongエクスプレスも市場シェア獲得戦争に備え、他の上場企業と合併を行なっている。

課題はアリババ依存度の高さ

YTOに次いで業界2位の座にあるZTOは、取扱貨物数で14.3%の市場シェアを獲得している。同社の2015年の総売上は9億1,500万ドル(約950億円)。純利益は2億40万ドル。今年上半期には売上6億3,880万ドル、純利益1億1,510万ドルを計上した。

モーニングスターのアナリスト、マリー・サンは「ZTOは米国市場への上場により、迅速な資金調達が可能となる」と分析する。

「中国ではIPO申請のプロセスが非常に遅い。大手の物流企業らはみな、可能な限りの資金調達を望んでいます」

ZTO社は米国でのIPOにあたり、自社のリスク要因にアリババへの依存度の高さを挙げている。アリババ関連の売上がZTO社に占める割合は昨年時点で77%。今年に入ってその比率は75%に微減している。同社はアリババの競合であるJD.comの商品の配達も行なっている。

ZTOは上場目論見書において、アリババが出品者らに別の物流企業を選択させる可能性についてもふれた。デジタルウェイビル等の新たな物流ソリューションの導入により、現状のビジネスモデルが破壊される可能性もある。

アナリストのサンは次のように述べる。「ZTOのアリババへの依存度の高さは確かにリスクと言えます。しかし、アリババは中国のEコマース物流において主要な地位を占めており、ZTOは彼らから逃れることはできないのです」

編集=上田裕資

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